茨城・坂東でパッシブハウス(PH)を手がけるスズモクさんの4棟目のPHを見学してきました。
今回はPHオープンウィークスの一環としての訪問。実際に体感してみて、設計の工夫や空調の調整など、改めて学びがありました。

建物概要
・延床面積 29.80坪
・UA値 0.16(W/㎡K)
・C値 0.1(cm²/m²)
・換気システム:1種換気(ローヤル電機)
・空調:ルームエアコン2台(壁掛け+床下エアコン)
・キッチン:循環式
開口部の設計と日射コントロール
・LDKの開口部は、南側にスマートウィン(佐藤の窓)+外付けブラインド(ヴァレーマ)を採用。
→ 敷地が西側に振れているため、日射取得のために南面の窓を活かす工夫。
・西側には開口部なし。
→ 直射日光による室温上昇を抑える、パッシブデザインの考え方。

設計時のシミュレーションが重要
こうした日射コントロールを適切に行うには、DesignPHを使ったシミュレーションが必須になります。
特に南西や北東からの日当たりは、シミュレーションを行って初めて具体的な影響を確認できます。
設計段階で正確な日射取得量や影の動きを把握することで、冬の日射取得を最大化し、夏の日射を適切に遮る設計が可能になります。
4棟目の経験がもたらす判断力
「敷地を見ただけでPH認定が可能か、だいたい分かるようになってきた」とのこと。
4棟目ともなると、土地の形状や周辺環境を考慮しながら、PHの条件を満たせるかどうかが直感的に判断できるようになるらしい。経験の積み重ねが活きる部分ですね。
訪問時の体感 – 輻射熱の心地よさ
・PH申請予定の建物だったので、断熱仕様の詳細は聞いていませんが、室内に入った瞬間の快適さが別格でした。
・午後の訪問でしたが、外付けブラインドで日差しを調整し、室温が上がりすぎない工夫。
・床下エアコンの稼働音はほぼ感じず、運転しているかどうかも分からないくらい静か。
・シャツ1枚で十分暖かく、椅子に座っていても足元からじんわり伝わる輻射熱。
・「十分断熱された部位が輻射暖房になる」という宿谷先生の話を実感する空間でした。
この「足元からじんわり伝わる暖かさ」が、まさにパッシブハウスの特徴。
エアコンの風を感じることなく、壁や床から伝わる輻射熱のおかげで、自然な暖かさに包まれる感覚 でした。
特に印象的だったのは、部屋全体の温度が均一だったこと。立っていても、座っていても、寒さを感じる場所がほとんどない。
これが適切な断熱・気密・日射取得のバランスが取れた空間 なんだと実感しました。

PHレベルの建物だからこその注意点
・北側・西側の壁面でも、日射による室温上昇が起こる点に注意が必要。
・PHレベルの高断熱性能だと、直射日光が当たるだけで壁が蓄熱し、輻射熱の影響が大きくなる。
・窓だけでなく、壁の蓄熱や日射調整も含めた設計が重要になる。
こうした問題を未然に防ぐために、DesignPHを活用したシミュレーションが不可欠。
シミュレーションを通じて、南西・北東からの日射がどれだけ影響を与えるかを確認し、適切な日射遮蔽計画を立てることができる。

設計だけでなく、運営や経営の話も
スズモクさんとは、建物の話だけでなく、HPやYouTube運営、会社経営の話も。
私の悩みも聞いていただき、たくさんの気づきをもらいました。こういう対話が、次の設計や活動につながるのを実感。
私自身、パッシブハウスの可能性を探求しながら設計に取り組んでいます。住まいの快適さや省エネ設計に興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。
パッシブハウスの設計には、土地の特性や日射のシミュレーションが欠かせません。
私自身、こうした体験を通じて「本当に快適な家づくりとは何か」を探求しながら、設計に取り組んでいます。
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